Rosendals Trädgård

2020.03.05

ストックホルムの緑豊かな王立公園は、スウェーデンの歴史を伝える北方民俗館や、ヴァーサミュージアムという、ヴァイキング時代の大きな船が展示された博物館、動物園と併設された野外博物館・スカンセンなど、美術館や博物館が充実しています。数年前には1970年代に世界的にヒットした4人組バンド・ABBAのミュージアムが出来て話題になりました。この公園を走るトラムの終点から坂を上がって森を抜けていくと、わたしの大好きな場所、ローゼンダールガーデンが広がります。

2004年の春から夏にかけて、北欧雑貨ばかりを扱うお店をはじめるため、買い付けをしながら、北欧を転々としていました。旅に出る少し前までは、会社に勤務していて、残業も多く、毎日忙しく働いていました。長く勤務した会社を辞めて、晴れて自由の身となって、独立という夢を描きながら北欧へ一人旅立ったのです。毎日予定らしい予定は何も無く、朝起きてベッドの中で、さて今日はどこにいこうかな?とのんびり過ごした日々。今思い出してみても、なんて贅沢な日々を過ごしていたんだろうと思わずにはいられません。ストックホルムには夏の1ヶ月間滞在して、ローゼンダールガーデンには本当によく通いました。

ローゼンダールガーデンでは、おいしいオーガニック食材を使ったカフェ、奥の窯で焼いたパンや食材が並ぶベーカリーと、色とりどりの植物が並ぶプランツショップがあります。イースターが近づく3月は、春らしい可憐なお花がずらりと並んで、とても好きな季節です。ある年の3月に訪れると、外はまだ肌寒く、はく息も白くて、足早に温室の中にあるカフェスペースを目指していました。その時、手前の温室では、春のお花のインスタレーションをしていて、思わず足を止めて、中に入っていきました。「だんごより花」です。古いガラスにワイヤーをくくりつけて一輪の花を挿し、それを頭上からかけたり。他にもいろんなタイプの鉢植えや、ローゼンダールのロゴが入った素焼きのプランターなど、そろそろ春の庭仕事をしなくては、と掻き立てられるディスプレイです。

中でもすごく惹かれたのがこのコーナー。天井から吊るされたフラワーブーケはかなりの大きさで、ボーッと見惚れてしまうほど。その下の木箱に無造作に並べられた、古いミルクボトルに、これまた無造作に生けられた植物。作り込んでいない自然な感じが、ここのディスプレーの好きなところです。友人の家を尋ねる時には、ここで小さな鉢植えやブーケを買って、現地の人気分を味わいます。